愛知県豊橋市でオーダースーツ専門店、レコードバーをするということ、前編

INDEX

1 まず生まれ育った愛知県豊橋市のこと
2 オーナーフィッター「加藤拓実」のこと
3 ジャズ喫茶「グロッタ」、ジャズバー「アドリブ」の皆さんに愛されて
4 豊橋と音楽、その昔は伝説のイベント「ブラックヘリテージ」も
5 ビジネススーツ、成人式のオーダーはジャソールまで

愛知県豊橋市水上ビルに店舗を構える「テーラージャソール」でございます。

まず生まれ育った愛知県豊橋市のこと

愛知県豊橋市で生まれ、大阪で暮らすこと17年、まさか帰郷してオーダースーツ店、とレコードバーをオープンすることになるとは思いませんでした。今日は自分のことも含めて、他府県の方にも私、加藤のことと、店舗と豊橋のご紹介をさせていただきたく思います。
豊橋は人口40万人に満たない愛知県でかつては名古屋市に次いで、ナンバー2と言われた町で、現在は豊田市や岡崎市も発展したため、肩を並べるようにナンバー2～4の街となっています。
名古屋からは車で1時間、豊橋の東隣には静岡県ががあり、土地勘のない方は愛知県の南東端と覚えていただければ良いでしょう。

車産業が有名な街で豊橋港は日本一の車輸出入の港と言われます。車の部品を作ったり、組み立てたりと車産業が盛んな街です。さすがトヨタのお膝元。工場が多いこともあってか、ブラジル移民の方も日本で一番多い街なのだそうです。市役所に行くとポルトガル語のカウンターや、郊外にはブラジル専門の食材店があったり。

オーナーフィッター「加藤拓実」のこと

高校を卒業する18歳まで豊橋で暮らし、友達はたくさんいたけれど、なんだかいつも退屈、田舎特有の暇な男の子はみんな不良になる、という文化もありましたが、根が真面目なせいか非行の道へは全く走らず、暇があれば洋服、映画、音楽、読書に時間を費やす少年でした。

都会で色々と興味ある事にトライしてみたい、いずれファッションと音楽などのカルチャーが入り混じった店をやりたい、と上京、といってもアパレルを志したのに、なぜか上京先は東京ではなく、大阪へ。
その当時を振り返ると、その時に愛読していた「中島らも」さんが関西のことを良く著書で書かれていたので、そこで関西へあこがれを持ったのでした。らもさんの本と出合ってなければ恐らくストレートに東京へ進んでいたでしょう。

18歳の田舎育ちの少年が関西弁とお笑いと道頓堀のネオンの洗礼を受けながら洋服や音楽にのめり込み、何度となく電気やガスが止められましたが、それでもすくすくと成長、その頃には遊び場と友達もできすっかり関西に馴染んでいました。

アパレルの専門学校もほどなく卒業し、そのまま関西のスーツを取り扱う大手百貨店メーカーへ就職、何人ものいじわるな上司たちに頭を悩ませながら、同僚や、他店の仲間たちと和気あいあいと勤務、次第に数字至上主義の販売方法に嫌気が差し、もっと人に寄り添える道を、と模索した結果バーテンダーに転職、そこからバーテンダーとして数年勤務。この時が一番睡眠時間短く走り回っていましたね。
昼頃に起きて、時間短縮のため風呂に入りながら食事、自転車で買い出しを済ませて、14時ごろから店の掃除、開店準備を済ませて開店時間の違う兄弟店へ氷を抱えてヘルプへ、自分の任されたお店に急いで戻って軽く食事を済ませて19時にお店をオープン、そのまま5時まで働き、店の清掃と閉め作業をして牛丼屋の朝定食を食べて、帰宅してすぐ就寝。また起きて、、、とそれがエンドレス。一応蝶ネクタイを締めたショットバーでしたが、その地域で最も遅くまで開いているバーでもあったため、色んな珍客の方も多く、笑いあり涙ありの面白いものでした。色んな経験をしているなか、先に体の方が悲鳴をあげてしまいノックダウン、昼夜逆転のヘビーな仕事が出来なくなってしまい、退職してバーテンダー時代のように人に寄り添える仕事をと、本格的にテーラリングの世界へ。
テーラーではフィッターとして採寸するなか、ご縁があり夜はレコードバーでのダブルワーク、この時の昼と夜との2足の草鞋的な働き方は自分にしかできないだろう！！と、今回のお店の構想の基礎ともなりました。

ジャズ喫茶「グロッタ」、ジャズバー「アドリブ」の皆さんに愛されて

地元に対しての愛情が強かったか、と問われると、正直なところ全くそんなことはありませんでした。ただ、大阪暮らしの間に、少し足を延ばせば恵まれた自然があることや、街で出会って優しくしてくれる人たちとの出会いで、少しづつ心の底の方で「豊橋も良いかもな」と思い始めていたのです。
特に大きかったのはジャズや芝居のイベント企画をやっている先輩がいたり、豊橋の文化ランドマーク的スポット、ジャズ喫茶「グロッタ」があったり、ジャズバー「アドリブ」のマスターが新しい音楽やカルチャーを先輩風を吹かすわけでもなく、優しく教えてくれたこと。豊橋ってこんなに面白い人たちがいるんだ。と思ったことはとても衝撃でした。
僕が愛してやまないテーラリングや、ビンテージを含めたファッション、音楽、バー文化、映画、文学、アート、食事、アウトドア、釣り、登山、軽度のオーガニック嗜好、それを全部ひっくるめたことって地元豊橋で全部叶ってしまうんじゃないの、と。

豊橋と音楽、その昔は伝説のイベント「ブラックヘリテージ」も

豊橋を出てから知ったことがたくさんあって、全国的にロカビリーが有名であったり、ライブハウスではclub knot「クラブノット」や、レジェンドもたくさん出演するハウスオブクレイジーがあったり、その昔は「ブラックヘリテージ」という伝説の野外イベントが開催されたということも。出演者は、レイチャールズ、BBキング、ダーティダズンブラスバンドなどなど、凄い。。。

それでも、住み慣れて仕事や、友達も多い大阪を離れて地元で、、、大丈夫か、、、という思いはもちろんありました。
たくさん悩み、それでも「いま豊橋で僕にしかできないであろう何か」はあるだろう！よし！豊橋でお店をやろう！独立開業だ！と心に決めてからは、とりあえず豊橋に戻り開業先をリサーチ。
一時期は車ではないと行けない郊外も考えましたが、お酒と、車社会である豊橋では郊外地の相性も悪いことや、まだ早計と考え、駅前で捜索。探し始めてからはほぼ即決で今の店舗がある水上ビルへと決まりました。

ちょっと長くなりすぎてしまったので、続きはまた中編にしたいと思います。