JAZOUL Journalジャソール ジャーナル
愛知県豊橋市でオーダースーツ専門店、レコードバーをするということ、中編
INDEX
愛知県豊橋市水上ビルに店舗を構える「テーラージャソール」でございます。
オーダースーツ&レコードバーのための店舗改装リノベーション
豊橋では初どころか、全国初になるであろうオーダースーツ&レコードバーのため改装作業。困難の連続でしたが、自分でお店を作ってみたい!という方もいると思うので、せっかくなので色々と経験したことをここに残しておきたいと思います。
店内に併設させるため昼はテーラー、夜はレコードバーと2つの顔を共存させなくてはいけません。テーラーもバーもそのムードは非常に大事。色々考えたのですが、元飲食店の居抜き物件がやりたいことのイメージに近いであろうと物件を捜索。不動産屋さんで色々と候補を出してもらい、結果的に豊橋のレトロビルのランドマーク的ポジションである水上ビルにある、2階建ての民芸風居酒屋の物件に決定。
2月頃に物件を契約し、和風な内装をそのまま使う予定の箇所は残して、図面も何も無いけれど、一人で出来るところまでやってみるか、とバールと金づちでとりあえず解体作業をスタートしたのが始まり。この時はこれが後にどれだけ大変なことになるかもよく分かっていませんでした。。。
後から分かったことですが、図面も無しに改装作業を行うということはかなり無謀な挑戦。。。色々と物件を見てみると気になるところがいくつも。床がフロアシートであったのがどうにも嫌で、少し剥がすと水上ビルの50年近い歴史が出てきました。
今までの店舗のフロアシートたちが何層にもミルフィーユ状に重なって、そのせいで床が数cm上がってしまっていました。これでは入り口から床の高さもかなり上がってしまい躓きやすくなってしまいます。それに、よく確認すると床は傾いたり、場所によっては歪んだりしておりこれでは家具も安定せず、木のフローリング材を貼ることもできません。
まず床を剥がしてしまおう!と思い立ち、ホームセンターでバールのような形状のスクリーパーという専門の器具を購入。それをコンクリの隙間に無理やり金づちで叩きながら無理やりねじ込み、剥がしていきます。これがかなりの重労働で、手は痺れ、鉄と鉄を叩くためかなりの轟音。
それでも数ミリ単位でしか床は剥がれてくれず、1日中作業しても1メーターほどしか剥がせません。これはドエライ作業をスタートしてしまった、、、と後悔しても後には引けず、ひたすら床に這いつくばり叩きまくることに。
スタート当初は全く先が見えなかった作業も数週間後にやっと剥がし終わり、大量のゴミを捨てる際に業者さんにその重量を計ってもらうと1トンほどに。。。いま振り返ってもよく人力だけでやってしまったと思います。とにかく凄まじい労力でした。水上ビルは地盤が無いらしく、底が抜けてしまうのが怖かったため重機は入れることはしませんでしたが、うまくやれば機械を使うことも出来たかもしれません。
クッションのフロアの下はコンクリ 一面のコンクリを解体し、そのガラを袋詰めしていきます やっとすっきり、これはもう二度とやりたくありません
地獄のような床剥がしもなんとか終わり、お次は壁や天井、和風な内装をうまく残し、そこにテーラーらしい洋の要素を入れていくつもりで、とりあえず梁は残して天井を抜いてみることに。
試しに一枚天井の壁を抜いたところで天井裏を確認。頭を突っ込んで、ライトを照らしてみると、そこに広がっていたのはなんと高さ1メーターほどのだだっ広い空間、、、これは予想外の展開、、、
しかも大型の廃ダクトや、今までの店舗の電気配線などがそのままほったらかしになっていました。これはどうしたもんか、、、と悩みながらうまくいけば梁を残したまま空間作りが出来るかもと。
ひょっこり現れた廃ダクト 見れば見るほど大型であることが分かります とりあえずバールで黙々と解体 天井を抜くと、ホコリや釘や、その他いろいろな汚いものも頭に落下、、、
とにかく大変、でも自分でやるのをオススメする理由も
それでもダクトの処理まではさすがに無理!と学生時代の友人である林君と谷口君が、助っ人に来てくれ、電動工具でダクトを解体!すごく心強かったです。
何とか形が見えて来て、とりあえずの残りの天井を破壊、破壊。天井裏に溜まったホコリや、害虫の糞など色んなものを全身に浴びながら作業。覚悟はしていたけれどやはり大変。。。
梁の色があまりに民芸的だったので、いったん電動カンナで表面を削って着色、ある程度オイルステインを塗り込んで様子を見てみると、どうも残った梁が細く不格好。。。
かなり苦労した作業でしたが、すべて落として天井を広く使いすっきりとさせるため、これも結局破壊してしまうことに。。結果的に2度手間になりかなり苦労はしましたが、実際に自分で解体作業を行ったことで店として良いものになったと思います。
余談ですが、これから自分でお店をされる方はぜひ自分の手でお店を触ってみてほしいです。簡単なメンテナンス方法や、細かい部分が分かるようになります。その物件に自分が慣れるってやっぱり大事。
足場を作って解体、さすがです 大きなダクト。これがいつのものなのか、、、 カウンター上の垂れ壁も破壊 一度梁だけを残して様子をみてみました 結局梁が細かったので不格好でそれも解体
やっと解体が終わり、やっとお店を作り上げていく作業に
ここまでの作業はマイナスをゼロに戻す作業。ここまでやってやっとスタートラインに立ち内装作業をしていけるためプラスにする作業をしていけます。色んな資料を参考にしながら、店内を「ブラウン×真鍮」の空間にすることに決め、グレーでむき出しだった天井はイメージに合わないので、ペンキで塗ってしまうことに。
店内に入ってしまうと天井はあまり目立たないので、木を張ったりすることはせずに着色することに。これでコストもかなり抑えられます。これも谷口君が紹介してくれたペンキ屋さんが特別に塗料を調色してくれ、水性ペンキではもっとも色の濃い艶消しのブラウンにしてもらえました。ダークブラウンが良かったのでこれもとてもありがたかったです。
養生して 伸縮性のローラーと脚立で ひたすら塗りまくり 全身はペンキだらけに
天井が終わったらお次は壁。ここで前述の同級生の林くんが名乗り出てくれて壁側の防音と、木の壁を立ててくれることになりました。本業は看板屋さんなのに、わがままをたくさん聞いてもらい。。。
水上ビルはその建築の古さも相まってか、いたるところに隙間があり10月にオープン予定のレコードバーとしては防音が気になるところ、防音はとにかく隙間を埋めるのが良いらしく、ウレタンフォームで隙間を埋め、さらに細かな隙間はウレタンスプレーを吹いてガチガチに固定していきます。そうして壁との間に防音ウールを敷き詰めてさらに防音。
隙間にウレタンフォーム 間を埋めるためにウレタンスプレーで固定 壁の基礎を建ててくれています
林くんのおかげで壁が立ち上がった頃には、隣の店の方から騒音が全くしなくなったと言われました。防音って大事。
ここから先はプロの領域の仕事ばかりで、モルタル職人の方に床を作って貰ったり、建具屋さんにドアを作って貰ったり、水平に仕上がったモルタルの上にアカシアのフローリング材を貼ってもらったり。そうなると素人の僕ではやれることは少なく塗装とゴミの片づけばかりしていました。
カウンターも新たに作ってもらいました ばっちり水平、さすが職人さん 専用ボンドで貼っていきます ビンテージ調の木材の雰囲気が良い感じに
店が出来上がったのはオープン前日、装飾や照明の重要性
オープンを7月4日に設定し、最後は急ピッチで進めてもらいました。それでもお店が出来上がったのは前日、そこから装飾の家具や、商品サンプルなどを入れてやっと店の形になりました。いやー、前日までバタバタした。。。
デザイン関係の友人にも言われていたのですが、家具などの装飾、照明の重要性。極端な言い方をすればこれがダメなら何をしてもダメというレベルだそうです。特に今回はわざと店内には窓を付けずに、外界がまったく分からない内装にしたため自然光はまったく入らず、バー用の雰囲気の良い電球色では昼間はオーダースーツ生地の正しい色が分かりません。
これを解消するために、天井にはダクトレールを3本添わせそれぞれ全て調光可能にし、そのうち昼白色のレールを1本用意。これにより昼のテーラー業は全点灯、夜は全体的に暗くして昼白色のレールは消灯。これで2つの顔が維持できるように調整しました。
家具は全体的にブラウンベースのビンテージ品を集め、色調とイメージを合わせることに統一感を持たせておくと模様替えがしたくなった際も色々と変更が効きやすいです。
さて、いよいよオープン。オープン当日とどういった思いでいま豊橋の地で仕事をしているかを次回の後編でお伝えしたいと思います。
ビジネススーツ、成人式のオーダーはジャソールまで
現在、納期は1.5ヶ月~2ヵ月となります。まずはご来店予約をお待ちしております。
オーダースーツ 料金
3ピース(ジャケット / パンツ / ベスト) 18万円(税別)〜
2ピース(ジャケット / パンツ) 15万円(税別)〜